アメリカのコンビニはコンビニエンスじゃない

アメリカのコンビニはコンビニエンスじゃない

 

 

日本のコンビニエンスストアはすごい。

お惣菜にお弁当、冷凍食品、スイーツも充実しており、冬にはホカホカのおでんももてなしてくれる。年々進化しているコンビニでは食品の品揃えはもちろん、日用品の品揃えも抜群で、何かあればコンビニに駆け込めば大体のものは手に入る。

駆け込み寺のごとく絶対的安心感を提供してくれるコンビニは、部活帰りの学生から忙しいサラリーマンにOL、ちょっと手を抜きたい主婦の皆さん、そして高齢者に至るまで老若男女が集う。何かあればコンビニ、何かなくてもコンビニ。賃貸を探す時は物件の近所にコンビニがあるかどうかが大きな決め手になるほど、誰もがその存在に一目置いている。

そんな絶対的エースのコンビニ様だが、ここアメリカではその認識を180度改めさせられた。

というのも、アメリカのコンビニはコンビニエンス要素がまったくもって皆無なのである。これは渡米してすぐに知った驚くべき事実だった。もちろん、コンビニエンスストアなるものはアメリカにも存在する。しかし初めてそこに入った時、想像と相反する実態に残念な気持ちを隠しきれなかったことを覚えている。

飲料コーナーやお菓子コーナー、食べ物コーナーは一応ある。が、食べたいものが一切ない。日本のように、趣向を凝らしたおいしそうなお弁当やコンビニのために開発されたおしゃれなスイーツなどは置いていないのだ。あるのは、どこでも買えるようなスナック菓子といかにも甘そうなパンが少し、そして特にそそられないメキシカン風のホットフードが数種、雑然と並べられているだけ。日本のように、「あ、あれ買い忘れた」と立ち寄って買えるような日用品も売っていない。

日本にいた時は1日1回はコンビニに立ち寄っていたような気がするのだが、アメリカに来てからコンビニという場所に一切行かなくなった。コンビニエンスではないから、行く必要性がまったくないのだ。

一体全体アメリカのコンビニはなんのために存在しているのか、その意義を問いたくなる。