北カリフォルニアの聖山、マウント・シャスタへ

北カリフォルニアの聖山、マウント・シャスタへ

カリフォルニアの北部、オレゴン州との境にほど近い場所に世界有数のパワースポットがある。標高4322メートルの休火山、マウント・シャスタ(Mount Shasta)だ。天気が良ければ160キロ先からも姿を望むことができるこの山は、キャンプやハイキングを楽しむ観光客はもちろん、世界中の登山家の憧れの場所でもある。

マウント・シャスタは、古くからアメリカ先住民に聖なる山として崇められてきた。その不思議な力に惹きつけられ、今も世界中の人々がこの地を訪れる。そんなシャスタの魅力とおすすめのスポットを紹介する。

 

 

人々はシャスタに呼ばれる

このエリアでは、少なくとも7000年ほど前から人々が生活を営んでいたという。1820年代に西洋人がこの地を訪れた時には、シャスタ族を含む9つの先住民族が定住していた。その頃からマウント・シャスタは神聖な山として崇められ、先住民族の儀式の場としての役割を果たしたほか、さまざまな民話や伝説が生まれたとされている。なぜかは分からないが、マウント・シャスタには不思議なパワーが宿っている。そのパワーに惹きつけられ、シャスタに呼ばれてこの地を訪れる人々は今も後を絶たない。

ここ一帯はシャスタ・トリニティ国立森林公園に指定されている。マウント・シャスタには清らかで豊富な水源があり、この山を中心に周辺には川や滝、湖が点在している。ヨセミテ国立公園などと比べると観光地化がそこまで進んでいないので、静かに大自然を感じたい人にはおすすめのスポットだ。シャスタの湧き水はミネラルが豊富で、日本でも人気が高いブランド「クリスタルガイザー」の採水地にもなっている。

マウント・シャスタの見どころ


Bunny Flat(バニー・フラット)
マウント・シャスタの5合目(2103メートル)に位置するポイント。山頂を間近に感じられるポイントで、Panther MeadowsやHorse Campなど、複数のハイキングルートが広がっている。夕方には赤く染まるマウント・シャスタの頂上を目前に見ることができる。これより上にアクセスできなくなる冬には、クロスカントリースキーやスノーシューといった雪遊びのスポットとしても人気。

 


Panther Meadows(パンサー・メドウズ)
マウント・シャスタの2316メートルに位置する湿原。古くから、そして今も変わらず先住民の儀式が行われる場所で、神聖な場所として大切にされてきた。LowerとUpperの2カ所からアクセスができ、ハイキングトレイルに沿って森を抜けると緑豊かな湿原へとたどり着く。湿原をさらに奥へ進むと、トレイルはマクラウド川の源泉が湧き出る泉につながっている。訪れるなら、色とりどりのワイルドフラワーが咲き乱れる7・8月がおすすめ。夕方は傾いた陽光に湿原がキラキラと輝き、神聖さがより一層増す瞬間。草花の香りと肌を撫でる大自然の風に包まれて、静かなひとときを過ごそう。

 


Old Ski Bowl(オールド・スキー・ボウル)
標高約2300メートル、車で行ける最高地点。ただし、車でアクセスできるのは夏のみ。見上げればマウント・シャスタの頂上、そして反対方向の眼下にはエディ山を望める。駐車場付近には儀式で使われるストーンサークルがあり、時には瞑想している人が見られることも。周辺はハイキングトレイルが整備されており散策ができる。夕暮れ時には周囲が赤く染まる様子を、そして夜には満点の美しい星を見ることができ、絶景スポットとして人気が高い。

シャスタを撮影するならココ!

マウント・シャスタは遠方でも360度からその姿を望むことができ、角度や距離によって見え方は異なる。シャスタの中腹でその雄大さと神聖さを実感したら、少し離れた遠目からその全体像も拝んでおきたい。

Siskiyou LakeのCable Beach
パーキングに車を停めて湖畔まで歩いていくと、正面にマウント・シャスタの姿が。日の入りのタイミングで訪れれば、刻々と移り変わるシャスタの神秘的な姿を見られるはず。

I-5沿いのVista Point
ReddingからI-5を車で45分ほど北上し、Simsという町を通り過ぎてすぐに、山脈の間から顔をのぞかせるマウント・シャスタがくっきりと見える「Mount Shasta Vista Point」がある。気を抜いていると見過ごしてしまうのでご注意を。

マウント・シャスタの西側にあるWeedという町からI-5を少し北上したところからも、シャスタの姿が望める。こちらのほうが距離が近いので、堂々とそびえる姿に圧巻されるはず。

Hwy 97のView Point
Weedの町から右方向へUS Hwy 97を30分ほど車で北上すると、Mount Shasta Viewのパーキングが出てくる。このポイントは、マウント・シャスタの北側から眺める形となる。

 

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シャスタ周辺の必見スポット


McCloud River Falls(マクラウド・リバーフォール)
マウント・シャスタを源泉に流れるマクラウド川は、南へと下ってReddingという町の北側に位置するシャスタ湖へと流れ込む。中腹あたりでは、Lower、Middle、Upperと3つに連なる滝が見られる。特に迫力があるのはMiddle Fall。豊富な水量が一気に流れ落ちる様子は圧巻で、天気の良い昼頃には運が良ければ虹が見られることも。

それぞれの滝に駐車場があるので車で回ることもできるが、3つの滝はトレイルでつながっているので、時間に余裕があればハイキングで回るのがおすすめ。LowerとMiddleの間は30分ほどの平坦な道なので、こどもでも気軽に歩くことができる。MiddleとUpperの間はやや険しい登り坂となるので、体力に自信がなければ車で移動しよう。

 


Burney Falls(バーニー・フォールズ)
シャスタ市内から車で1時間ほどの所にある滝。落差約40メートル、1日に30万トンもの水が流れ、カリフォルニア州でもっとも美しい滝といわれるほど。滝壺まで降りれば豊富な水量がごうごうと流れ落ちる大迫力を間近で見られ、放たれる水しぶきは時に神秘的な光景をも作り出す。

周辺には1時間ほどで滝の周りを1周できるハイキング・ループが整備されている。滝と森林のパワーを全身で感じながら大自然の中を歩けば、身も心も浄化されていくよう。

 


Lake Siskiyou(シスキヨウ湖)
マウント・シャスタから3.7キロの麓に位置する湖。背後にシャスタの姿を望め、風のない晴れた日は湖面に映る逆さシャスタが撮影できる。大きな湖で湖畔沿いには駐車場が多数あり、場所によって異なる景色が見られるのも楽しいポイント。ハイキングやピクニック、釣り、ボートなどのアクティビティのほか、キャンプ場などが整備されている。

 


Castle Lake・Heart Lake(キャッスル湖・ハート湖)
シスキヨウ湖からさらに山の奥へと進むと、キャッスル湖へとアクセスできる。キャッスル湖は透明度が極めて高く、神秘的なスポットとして人々を惹きつける。冬は雪と氷で覆われ、神聖さが2割増しに。夏はピクニックやカヌー、水遊びに訪れる人々で賑わい、冬にはスノーシューやアイスフィッシングなどが楽しめる。

キャッスル湖からハイキング・トレイルを歩いてアクセスできるハート湖は、「呼ばれた人だけがたどり着ける」といわれる幻の湖。それというのもハート湖までの道のりは整備されておらず、道が複数に枝分かれしており複雑なので、1度でたどり着くのが難しいのだ。訪れる際は、ハート湖から戻ってきたハイカーにどの道を行けば良いか尋ねながら進むと迷わずたどり着けるはず。

険しい岩道を1時間ほど登ると、山間に突然ハート型の湖が現れる。人が少なくとても静かなので、澄んだ空気と大自然の声に耳を澄ませながらのんびりと時間を過ごすのがおすすめ。標高が高いので、マウント・シャスタやブラック・ビュート、キャッスル湖などを見渡せる。

 


Pluto’s Cave(プルート・ケーブ)
19万年前、マウント・シャスタが噴火した際の溶岩が固まってできた洞窟で、かつては先住民の生活の場でもあった。複数の洞窟が集合しており、そのうちの一つに天井に穴が空いたポイントがある。暗闇の中、天井から陽光が差し込む様子はまるで異世界のようで、ここでときどき神秘体験をする人もいるのだとか。外と遮断された静まる空間で耳を澄ませば、異世界への扉が開かれるかも!?

洞窟の中は真っ暗で足場が不安定なので、懐中電灯と軍手を持参することをおすすめする。

 

宿泊は日本人が経営する「Stoney Brook Inn」へ

シャスタの町から車で15分ほど東側のMcCloudという町に、日本人が経営するB&B「Stoney Brook Inn」がある。オーナーも木造のかわいらしい宿もいつも旅人を温かく迎えてくれ、その魅力に常連となる人も多いのだとか。毎朝提供してくれる朝食がとてもおいしく、オーナーや宿泊客がフレンドリーに会話ができるアットホームな雰囲気もすてき。マウント・シャスタを訪れる際は、ぜひこの宿に泊まって欲しい。