海山の豊かな里、能登半島の魅力探訪

海山の豊かな里、能登半島の魅力探訪

北陸地方の中央、日本海にひょっこり突き出た石川県の能登半島は、海と山に囲まれた自然豊かな地。そして、加賀藩に育まれた文化が今も息づく歴史深いエリアでもある。石川県というと海外からも人気の金沢に人が集まりがちだが、能登半島にも歴史的文化財やグルメ、工芸品、伝統芸能、景勝地など、魅力は盛りだくさん!

観光スポットは半島の広範囲に点在しているので、レンタカーでの移動がおすすめ。名所となっているエリアはバスも走っているが、本数はそれほど多くないので、バスを使うなら時刻表をしっかり確認しておこう。ここではぜひ訪れておきたい観光スポットをいくつか紹介する。

 

千里浜なぎさドライブウェイ

日本で唯一、砂浜を車で走れるドライブウェイ。全長約8キロの海岸線沿いに、波打ち際ギリギリのところを風を切って走るのは爽快だ。途中、車を止めて浜辺でゆったり時間を過ごしたり、海の家で能登の海の幸を味わったりするのも一興。

 

總持寺祖院

元享元年(1321)に創建された曹洞宗の総本山。明治31年(1898)に起きた大火で境内は焼失したが、その後、山門や仏殿などが再建され、今も当時の歴史を伝えている。

広大な境内は当時の反映ぶりを思わせる。その美しさに惹かれ、スケッチに訪れる地元の人も多数いるようだ。ここでは坐禅体験ができ、予約すれば精進料理も食べられる。なお、本山は現在、神奈川県横浜市鶴見区に移されている。

 

能登金剛(巌門、ヤセの断崖)

半島きっての景勝地。巌門といわれる中央に穴の開いた大きな岩山や、松本清張の小説『ゼロの焦点』の舞台にもなった絶壁・ヤセの断崖など、海岸線にできた奇岩を見ることができる。20分ほどで回る遊覧船に乗れば見どころを案内してもらえる。

 

輪島キリコ会館

輪島市の中心街のそばにある、能登地方の伝統的な「キリコ祭り」について学べる会館。大きいもので高さ15メートルほどもある、巨大な灯籠型の神輿がずらりと並ぶ様子は圧巻だ。薄暗い館内に明かりが点された神輿が並び、かけ声が流れてくる館内は祭りの舞台さながら。

 

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輪島朝市

輪島に来たなら絶対に外せないのが、平安時代から行なわれていたといわれる歴史ある朝市。ほぼ毎日午前中に開催されており、朝市通りと呼ばれる商店街には200以上の露店が立ち並ぶ。新鮮な魚介類から干物、民芸品などさまざまな商品が並び、店先の気さくなおじいちゃんおばあちゃんと会話を楽しみながら歩くのも楽しみ方のひとつ。

 

白米千枚田

海に面した丘に広がる、無数の小さな田が折り重なった棚田。日本の原風景ともいわれ、2016年には「世界農業遺産」にも認定された。約1.2ヘクタールの面積には1004枚の田があり、1番小さいものでは約0.2平方メートル。

水が張られている5〜7月頃には田の緑が青い空に映え、日の入りには夕日に照らされて真っ赤に染まる美しい棚田が見られる。また10〜3月頃には夜になるとLEDライトを使ったイルミネーションが見られ、年中さまざまな景色を楽しめる。

 

時国家

平時忠がこの地に配流されて以来、その子孫によってずっと守られてきた旧家。上時国家と下時国家のふたつの屋敷があり、邸宅内では豪華な格天井や平家の家紋を金箔で描いた襖、表と裏で異なる絵が彫られた欄間などを見ることができる。

 

道の駅 すず塩田村

珠洲市にある、この地方伝統の揚げ浜式製塩の資料館。浜に海水をまき蒸発させて、後に残った砂に付いた塩の結晶を、再度海水をかけて抽出し、窯炊きして塩を造り出す製法は400年以上前から伝えられてきた。

資料館の裏には塩田と鎌炊きの作業場があり、ここでは海水をまいて結晶を抽出する作業や窯炊きの現場を実際に見ることができる。資料館では製塩の詳しい解説や歴史を学べるほか、申し込めば製塩体験も可能。揚げ浜式の塩は食塩とはひと味もふた味も違うので、ぜひおみやげに買っていってほしい。

 

このほかにも輪島温泉や能登の海鮮をふんだんに使った能登丼、江戸時代の幕府の直轄地であった天領黒島、能登地方の伝統芸能である御陣乗太鼓の上演など、見どころは語りつくせない。能登半島を訪れるなら、3〜4日ほどのんびりと観光して回るのがおすすめだ。