新旧が融合した町・金沢の魅力7選

新旧が融合した町・金沢の魅力7選

戦国時代に加賀藩の藩祖・前田利家が入城して以来、明治の廃藩置県まで約280年の間、城下町として栄えた金沢。ここでは今も歴史的建造物群や古い町並みをあちこちで見ることができ、この町を支えてきた伝統工芸の匠の技が今も連綿と受け継がれている。

一方で、大人も子どもも楽しめる現代アートや興味深い近現代建築作品など新しい観光スポットも増えており、まさに新旧が融合した町といえる。平成27年に待望の北陸新幹線が金沢駅まで開業して以来、続々と観光客が訪れている今人気の金沢でオススメの観光スポット7選を紹介する。

 

世界的に評価された美しい金沢駅


まずは金沢の玄関口といえる北陸新幹線金沢駅。実はここ、アメリカの旅行雑誌「Travel + Leisure」が発表した「世界でもっとも美しい駅」のひとつに選ばれているほど、建築的に美しい駅だ。

2005年に完成した同駅は建築家・白江龍三氏の設計によるもの。ガラス張りで緩やかな曲線を描いたホールは「もてなしドーム」と名付けられ、駅を降りた人に傘を差し出す「おもてなしの心」を表現している。また手前に堂々と建つ木造の門は「鼓門」と呼ばれ、金沢の伝統芸能に使われる鼓をイメージしているという。

駅構内には金沢百番街というショッピングモールがあり、みやげ物店やグルメレストランが軒を連ねている。伝統工芸品やこの地ならではの食べ物など、さまざまな店が並んでいるのでおみやげ選びに立ち寄ろう。

 

金沢城公園・兼六園で原点を学ぶ


金沢に来たなら絶対に外せないのが、金沢城公園と兼六園。水戸(茨城県)の偕楽園、岡山の後楽園と並び「日本三名園」のひとつに数えられている兼六園は、誰もが知る名園。加賀歴代藩主により作庭された池泉回遊式庭園は、晴れた日の散策にぴったりだ。

春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の美しい光景を楽しめるのも魅力のひとつ。園内には時雨亭という小さなお屋敷が建っており、季節によって変わる生和菓子とともに呈茶を受けることもできる。

金沢城は天正11年(1583)に前田利家が入城した後に、本格的な城造りが始められた。何度かの火災で城のほとんどが焼失し、藩政時代の建物で現在残っているのは石川門、三十間長屋、鶴丸倉庫などわずかだ。平成13年には菱櫓、五十間長屋、橋爪門続櫓が復元されている。

広大な敷地は戦後、金沢大学のキャンパスとして利用されていたが、現在は公園として復元整備が進められている。園内を散策するだけでも楽しいが、時間に余裕があれば五十間長屋の内部も見ていただきたい。建築構造が分かる木組みの解説や出土品、模型などが展示されており、建物の仕組みや歴史を学ぶことができる。

さらに今一番の見どころは、平成27年3月にオープンしたばかりの玉泉院丸庭園。加賀藩三代藩主・前田利常が作庭し、廃藩時まで存在していた庭園だ。その後廃絶されたが、平成20年から5年にもおよぶ発掘調査に基づき、当時の姿が忠実に再現された。池泉回遊式庭園は配置がとても美しく、毎週末を中心に実施される夜のライトアップではより一層幻想的な風景が見られる。

 

長町武家屋敷跡で江戸時代へタイムスリップ


金沢城公園の西側には、江戸時代に藩士の屋敷が並んでいた長町というエリアがある。ここには今も当時の姿をそのまま残す屋敷跡がいくつかあり、野村家などは邸内を見学することも可能。石畳の路地の左右には土塀が続き、散策していると400年前の町なかにタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってしまうほどだ。

 

ひがし茶屋街でゆったり散策


古い町並みの雰囲気を楽しみたいなら、金沢城公園の北東にあるひがし茶屋街もおすすめ。江戸時代後期に形成された茶屋街で、にし茶屋街、主計町茶屋街と合わせて3つのうちでも一番規模が大きい。道沿いにはキムスコ(木虫籠)と呼ばれる美しい出格子のある家が並び、かつての繁栄を思わせる。

国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、志摩や懐華樓という茶屋は内部を見学することもできる。当時使われていたままのお座敷や趣向を凝らした豪華な内装が見られるほか、芸妓が使っていた道具類なども展示されている。

町なかには当時の建物を再利用したみやげ物店やカフェ、レストランもあるので、茶房などで休憩をはさみながらゆっくりと散策しよう。昼間は多くの観光客で賑わっているが、早朝や夕方は人も少なくのんびりと満喫することができる。夜になると軒先に明かりが灯り、古き時代を思わせる雰囲気が一層増す光景が広がる。

 

金沢21世紀美術館で現代アートに浸る


平成16年にオープンした現代アートの美術館。敷地内には無料ゾーンと有料ゾーンがあり、室内はもちろん外にもアート作品が展示されている。無料ゾーンでは触ったり作品の中に入ったりできる、体験型アートが魅力だ。

展示作品も去ることながら、建築にも注目してほしい。ガラス張りの円形の建物は、プリツカー賞など数多くの賞を受賞し、美術館建築を多数手がける妹島和世+西沢立衛のコンビ・SANAAによる設計。館内は外の光を取り入れ、明るい展示室が広がる。

 

鈴木大拙館で禅(ZEN)の哲学を学ぶ


仏教哲学や禅の思想を国内外に広く伝えた鈴木大拙。彼の生い立ちや足跡に触れるとともに、来館者がみずから思索できる場が設けられたミュージアムが平成23年にオープンした。

館内には大拙の書いた書物などが展示されている展示空間、資料などが見られる学習空間、そして来館者がいくらでも思索にふけることのできる小さな建物・思索空間がある。思索空間は薄く水を張った「水鏡の庭」に囲まれ、建物内には畳が敷かれたベンチがある。来館者はここで静かに思考にふけったり、坐禅を組んでゆっくりと流れる時間に身を任せたりと、自由に過ごすことができるのだ。

このミュージアムは世界的に有名な建築家・谷口吉生氏の設計によるもの。シンプルで心の落ち着くようなデザインは、多くの建築好きにも注目されている。

 

忍者寺(妙立寺)で入り組んだ仕掛けに圧倒される


ひと味違った金沢を楽しみたいなら立ち寄っていただきたいのが、忍者寺の通称をもつ妙立寺。江戸時代、幕府の監視下に置かれ緊張状態にあったことから、加賀藩主・前田利常が万が一攻め込まれた時に迎え打てるようにと密かに作り上げた寺で、城の防備としての役割を持っていたとされる。

内部には隠し階段や落とし穴、物見台などさまざまな仕掛けがあり、人々の探究心をくすぐる。ここにある井戸は金沢城への抜け道になっているといわれているが、実際に調査は行われていないため真偽のほどは定かでないなど、興味深い見どころが多数。予約がないと入れないため、訪れる際は忘れずに。

 

金沢は歴史的スポットや現代アートのスポットといった見どころが数えきれないほどあるほか、海鮮や郷土料理など、グルメの町としても有名だ。2019年の夏頃には谷口吉生氏が設計を手がける建築博物館のオープンも決まり、今後も目が離せない。

旅行雑誌、情報誌の編集者兼ライター。人種や文化の違いに興味があり、世界中の国々を旅行しては、その地で見た美しい風景や人々、おもしろいと感じたものを写真に収める。