美しい町並みが広がるペルー、クスコの町歩き

美しい町並みが広がるペルー、クスコの町歩き

ペルーの南部、アンデス山脈の山間に位置するクスコは、インカ帝国時代に都として栄えていた町。インカ帝国滅亡後には、スペインからの征服者たちによって教会や邸宅が建設された。度重なる地震を耐え抜いたかつての建築物が今なお残る、美しいクスコの町の歩き方を紹介する。

世界遺産にも登録された歴史深い町

15世紀前半、インカ帝国の首都として栄華を極めていた頃、クスコには宮殿や神殿が建ち、内部は黄金や宝石など豪華な装飾に溢れていたという。カミソリ1枚通さないといわれる石組みによる重厚な建物や灌漑用水路など、当時用いられた技術は緻密で高度なものだった。

1533年、スペイン人たちはこの地に上陸し、当時の皇帝を殺害してインカ帝国を事実上の滅亡へと追いやる。征服者たちは金銀財宝を奪って自分たちのものにし、神殿や宮殿を破壊してはその上に教会を建てた。

その後、現在までに3度の大地震がクスコ地方を襲った。スペイン人たちが建てた教会などの建物は大きなダメージを受けたが、その土台として残されていたインカ帝国時代の石組みはびくともしなかったのだそうだ。今も、クスコのあちこちで見られるインカ帝国時代の面影は町をより一層美しく見せ、「クスコ市街」として世界文化遺産にも登録されている。

主な見どころ

アルマス広場(Plaza de Armas)

クスコの中心であり、観光の拠点となっている広場。インカ帝国時代の町づくりは広場を中心としていたが、偶然にもスペインの町づくりも広場を中心とするものだったのだそう。周辺にはカテドラルをはじめ、レストランや民芸品店、旅行会社などが立ち並んでいる。道に迷いそうな時は、いつでもこの広場を目印にしよう。

 

カテドラル(Catedral)

アルマス広場に面して建てられた大聖堂。かつて、ここにはインカ帝国の神殿が建っていたという。ポトシの銀300トンを使った祭壇は必見。また、一つひとつに彫刻を施したブロック石を約6000個使ってつくられたアーチ天井の柱、木製や金製の彫刻など、贅を尽くした内部はとにかく美しい。

約400点ある宗教画のなかでも、『最後の晩餐』は見逃さないように。ここに描かれている料理は、クスコの名物であるクイというネズミの丸焼きだ。内部を見学する際は、英語のオーディオガイドを使うのがおすすめ。

 

ラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会(Iglesia de la Compania de Jesus)

アルマス広場に面し、カテドラルの斜め向かいに建てられた教会。インカ帝国第11代皇帝ワイナ・カパックの宮殿が建っていた場所に位置する。祭壇の脇から狭い階段を上って2階へ行くと、窓からはアルマス広場を見渡せる。

 

サント・ドミンゴ教会・修道院(Iglesia y Convento de Santo Domingo/Qorikancha)

インカ帝国時代、太陽の神殿があった場所に土台だけ残して建てられた教会。神殿は緻密な石組みで覆われ、金の装飾や金のトウモロコシ畑、等身大の金のリャマを連れた人間像など、すべてが金で覆われた絢爛豪華な造りだった。大地震があった際に教会部分は崩れ落ちたが、土台の石組みだけは傷ひとつつかずに残った。

復元された教会内部に入ると、今なお残るインカ時代の美しい石組みが見られる。なお、現在も新たな石組みが見つかっており、発掘は続いているのだそう。教会の前には博物館があり、インカ時代の出土品や実物大の銀のトウモロコシなどが展示されている。

 

12角の石(La Piedra de los Doce Angulos)

宗教美術博物館を支える石組みに、1つだけ12の角を持つ石が埋め込まれている。精密に切り出された四角形の石組みのなかで、あえて複数の角の石を寸分の隙もなくピッタリと組み合わせているところに技術の高さがうかがえる。どれが12角の石なのか、探してみよう。

 

サンペドロ市場(Mercado San Pedro)

アルマス広場から西へ、サンタクララ通りを10分ほど歩いたところにある市場。生鮮食品から肉、チーズ、加工品、織物、民芸品などあらゆる商品が揃っており、観光客はもちろん、地元の住民も集う場となっている。値段も安いので、おみやげ選びにおすすめ。

奥まで進むと食べ物や飲み物の屋台もあるので、軽食やランチをここで取るのもいいだろう。内部は混み合っているので、スリに注意しよう。

Advertisement

空港から中心街へのアクセス

アレハンドロ・ベラスコ・アステテ空港からクスコの中心街までは、約4キロ。移動手段はタクシーかバスとなる。空港を出てすぐのところではタクシーのドライバーが呼び込みを行っており、料金は15ソルほど。空港の敷地を出たところにいる流しのタクシーなら6〜8ソルだが、タクシー強盗もいるので注意。

空港のそばのバス停からバスに乗ると、25分ほどで中心街に着く。マルケス通り(Marques)の角で降りればアルマス広場まですぐ。ただし、バスに乗り慣れていないと不安もあると思うので、タクシーのほうがおすすめ。

クスコの治安について

クスコは観光施設やレストラン、みやげ物店などがコンパクトにギュギュッと集まっている町なので、とても歩きやすい。観光客も多く、地元の人たちもフレンドリーなので治安は良いほうだといえるだろう。ただし、市場などの混雑しているエリアはスリに遭う可能性もあるので、貴重品の管理はしっかりしよう。

夜もアルマス広場を中心に街灯が点り、多くの人が行き交って活気があるので気軽に出歩いて大丈夫。

高山病に注意!

クスコの標高は約3400メートルと、マチュピチュよりも高い場所に位置している。そのため酸素が薄く、慣れていない人は高山病にかかってしまうリスクがある。到着した当日はホテルでのんびり過ごすなど、無理せず体調を気遣おう。

心配な人は、高山病の薬を薬局などで購入すると良い。また、水分補給をこまめに行うこと、ゆっくり歩くこと、無理をしないことを心がけよう。