戦国時代の足跡をたどる、浜松の町を散策

戦国時代の足跡をたどる、浜松の町を散策

静岡県最大の都市である浜松は、かつて浜松城の城下町として栄えた歴史の地。市内には当時の面影を伝える文化財などの観光スポットが多数点在している。徳川家康ゆかりの町であるとともに、2017年のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』の舞台でもあり、戦国時代ファンには必見の地だ。

 

まずは家康ゆかりの浜松城へ


元亀元年(1570)に徳川家康によって築城された浜松城は、武田信玄の侵攻に備えたもの。家康は29〜45歳までの17年間をこの城で過ごしたといわれている。のちに家康が駿府城に移った後は、代々の徳川家とゆかりある大名が城主となった。

城が築かれたのは、見晴らしのいい三方原台地。城郭は明治維新後に壊され、現在は野面積みの石垣しか当時のままの姿は残っていないが、昭和33年には天守が再建され、翌年には浜松市の史跡に指定された。その後、平成26年には天守門が復元され、平成27年には家康公400年記念事業の一環として30歳前後の等身大家康像が制作された。

天守内部は見学できるようになっている。中には歴代城主や浜松の歴史的な資料のほか武具などが展示されており、3階へ上がると360度のパノラマを見ることができる。等身大の家康像は1階にあり、険しい表情に手相やしわ、毛穴まで再現されているのでぜひ見ていただきたい。

 

井伊直虎ゆかりの寺・龍潭寺(りょうたんじ)


天平5年(733)に開創されたと伝わる古刹。門前にある井戸から生まれたとされる共保(ともやす)公を初代とする井伊家の、歴代当主が眠る菩提寺としても知られている。

直虎は井伊家22代当主・直盛の一人娘であり、許嫁の直親が亡くなったと思い込みこの寺で出家して次郎法師と名乗った。寺の裏には井伊家の墓所があり、現在は直虎が生前ついぞ結ばれることのなかった直親と隣同士で眠る。

龍潭寺の本堂は鶯張りの廊下が特徴的。内部には井伊家の歴史を解説したパネルや絵画などの寺宝が展示されており、1周することができる。ここで見逃せないのが小堀遠州作庭の庭園だ。心字池の中心に多数の石組みが施された築山のある池泉観賞式庭園は、とても美しい。

龍潭寺のそばには伝説の井戸や井伊谷城跡も


龍潭寺の参道を出て少し歩くと、田んぼの中央にポツンと佇む井戸が見える。ここは井伊氏初代の共保が生まれたと伝わる井戸。塀に囲まれた内部には井戸と並び、井伊直弼がこの地で詠んだ歌が歌碑で残っている。

龍潭寺から北へ15分ほど歩いたところには井伊谷城跡となった城山公園がある。10分ほどで頂上まで登ることができ、現在は跡地に看板が立っているのみだが、町を一望できる。

 

『おんな城主 直虎』のロケ地・方広寺


建徳2年(1371)、無文元選禅師(むもんげんせんぜんじ)が開いた臨済宗方広寺派大本山。井伊直虎と直接のゆかりはないが、大河ドラマのロケ地として使用された寺だ。緑深い山にひっそりと建つ方広寺の境内は広く、森林浴を楽しみながら散策できる。

参道から本堂、また本堂の裏など、至るところで人々を迎えてくれるのが五百羅漢と呼ばれる石像たち。一つひとつの表情が異なり、境内には必ず自分にそっくりな像があるといわれているので、自分と同じ顔をした像を探しながら歩くのも楽しみの一つだ。

本堂には国重要文化財である釈迦三尊像が祀られている。普段は見ることができないが、特別展や一般公開されている時期にはその神々しい姿を見ることができる。今にも動き出しそうな表情や布の滑らかさなど、細かい部分まで緻密に造られた像は一見の価値あり。

この寺のおもしろいのは、境内に奥山半僧坊大権現という神様が祀られていること。方広寺の鎮守の神様として境内を見守っている。総本殿には勝海舟揮毫の書も残っている。

方広寺では座禅や写経、写仏体験のほか、季節ごとに旬の食材を味わえる精進料理も提供している。練り物で作られたウナギ風の料理は、見た目も味もうな重のウナギのよう。体験したい方は事前予約が必要なので、注意しよう。

 

浜松には歴史的なスポットのほか、天竜浜名湖鉄道や舘山寺温泉、浜名湖など見どころがたくさんある。じっくりと楽しみたいなら2〜3日は必要になりそうだ。