憧れのニューヨーク、自由の女神を見に行こう

憧れのニューヨーク、自由の女神を見に行こう

1776年7月4日、アメリカはイギリスによって植民地とされていた13州の独立を表明した。アメリカ独立宣言だ。この記念すべき歴史的瞬間と独立にこめられた想いを今も人々に示し続けているのが、ニューヨーク・マンハッタンから約2マイル離れたリバティ島に立つ「自由の女神像」。今やニューヨークのランドマークとなり、世界の誰もが知る自由の女神像の歴史と魅力に迫る。

知っておきたい「アメリカ独立宣言」

アメリカが独立に至ったきっかけは、植民地の人々とイギリス本国との争いによるものだ。1492年、コロンブスが西インド諸島に到達してからヨーロッパの人々は次々とアメリカ大陸に押し寄せ、勢力争いによる戦争が勃発した。最終的に大陸の大半を手にしたのはイギリスで、彼らは13の植民地を支配した。しかし、当時イギリスは資金不足が深刻だったため、植民地に対して砂糖法や印紙法などの政策を次々に打ち出し、課税を強化した。これらの勝手な政策に怒った植民地の人々が反対運動を始め、それがのちの独立戦争へと発展したのだ。

13植民地は結束を図るために各地の代表者を集めて、1774年に第一回、1775年に第二回大陸会議を開く。その翌1776年6月には大陸会議に「独立の決議」が提案され、これに基づいて、トマス・ジェファソン、ジョン・アダムス、ベンジャミン・フランクリン、ロジャー・シャーマン、ロバート・R・リビングストンの5人で構成される独立起草委員会が発足した。トマス・ジェファソンが起草、ベンジャミン・フランクリンとジョン・アダムズが修正した委員会案は大陸会議に提出され、ついに「アメリカ独立宣言」として採択されるに至った。

独立を求めて植民地側とイギリス本国との戦いが始まり、サラトガの戦いで植民地側が初めて勝利を収めると、¥フランスはこのタイミングを逃すまいと援軍を送ってアメリカ側についた。すると、フランスの同盟国としてスペインやオランダなどが次々に参戦。これによってイギリスは一気に劣勢に追い込まれたのである。

「自由の女神像」はフランスからの贈り物

自由の女神像は、そんな盟友となったフランス側から、アメリカ独立100周年を記念して友好の証として贈られたもの。驚くべきことに、女神像はフランスの国からではなく、市民たち自身が集めた資金によって建造された。フランスの法学者であり政治家でもあったエドゥアール・ラブライエが深い信頼の証としてモニュメントの寄贈を提案し、寄付の募集を呼び掛けたのだという。

1886年、女神像は完成した。足元から頭までの高さはおよそ33.8メートル。松明の先端まで入れると約45メートルにもなる。重量は225トン。フランスからアメリカへの輸送時は350ものピースに分解され、214箱に梱包して運ばれたという。

世界文化遺産にも登録

自由の女神像の正式名称は、“Liberty Enlightening the World”(世界を照らす自由)。女神は自由と希望の象徴であり、当時はヨーロッパから来た移民たちを導く灯台の役割も果たしたのだという。右手には自由を象徴する松明を高く掲げ、左手には独立記念日である1776年7月4日が記された独立宣言書を抱えている。女神の足に踏みつけられているのは、弾圧や暴力からの解放を意味する壊れた鎖だ。さらに、頭には7つの大陸を象徴する突起が7つ付いた冠を被っている。

設計と建築を手がけたのはフランスの彫刻家フレデリック・バルトルディと、同じくフランス人の技師ギュスターヴ・エッフェル。女神像は鉄の骨組みをベースに、無数に分かれた銅板のピースを張り合わせてできている。この巨大な像を支える複雑で緻密な構造は、工学や建築、アート分野の未来を切り開く先駆けとなった。アートと工学を掛け合わせた今までにない新たな手法による19世紀の建築技術の傑作と評価され、1984年には世界文化遺産に登録されている。

自由の女神像の見どころ

自由の女神像があるリバティ島へは、マンハッタンとニュージャージー州の2カ所からフェリーでアクセスできる。船に揺られること約20分、徐々に距離が近づくにつれて迫りくる女神像の巨大さにまず圧倒される。

ちなみに、自由の女神といえばエメラルドグリーンの像を思い浮かべる人が多いと思うが、実はフランスから贈られた当初は赤茶色だったらしい。材料に使われている胴の性質上、徐々に酸化して今のような色になったのだそうだ。

まずは像を支える台座の内部へ。ロビーには、初期の頃に女神が掲げていた松明が飾られている。現在手に持っている松明は、1986年に置き換えられたものだそう。館内には、女神像の立案から現在に至るまでの歴史を学べる資料やパネルが展示されている。歴史を学んだら、いよいよ女神の冠部分へ。台座から冠までは、頭上高く続く350段以上の螺旋階段をひたすら上って行く。薄暗い階段を上りきると、やっと外の光が差し込む冠の内側に到着だ。冠部分は窓になっており、マンハッタンやブルックリンなど、ニューヨークの美しい町並みを女神と同じ目線で一望できる。

館内には、自由の女神像の歴史や豆知識などを教えてくれるレンジャーも常駐している。より詳しい歴史を知りたいなら、レンジャーに案内してもらおう。

事前予約がおすすめ

自由の女神像は1日の入場者数が限られており、冠部分まで上れる人数はさらに制限されている。冠部分までのチケットは人気が高く、季節によっては4〜6カ月前に売り切れてしまうことも。台座だけの観光でもギリギリで予約をするとチケットが売り切れの可能性も高いので、旅行が決まったら早めにチケットを予約しておくのがおすすめ。