アメリカで人生初のセルフ洗車

アメリカで人生初のセルフ洗車

アメリカに移り住んでから、人生で初めてマイカーなるものを持つようになった。日本にいた頃は、実家は横浜だし、社会人になって一人暮らしをした時にも都内に住んでいたので、日々の生活で車が必要になることなどなかったのだ。

もちろん実家には車があったので、休日に家族で買い物に行く時や遠出する時には運転もした。だが、あくまで父の車だったので、私が自由に乗りこなしていいものではなかった。

アメリカは、ニューヨーク市内やロサンゼルスのダウンタウンなど、よほど栄えた大都市エリアでなければ車以外の交通手段がない。私が住んでいる場所はロサンゼルスエリアには違いないが、ダウンタウンよりも南へ車で30分ほど行った所で、電車はない。あるにはあるが、私の行動範囲を走る電車はない。バスも一応走ってはいるが、1時間に1本という感じでほぼ使い物にならない。

それでもまだ、公共交通機関の充実度としては、マシなほうだと思う。この広大なアメリカの大半の地域は、電車はおろかバスさえ走っておらず、まさに頼れるものは車のみなのだから。

さて、マイカーを手に入れ、まるで翼を得た鳥のように嬉々として自由自在に走り回っている私だが、一つ苦戦しているものがある。それは、何を隠そう洗車だ。たかが洗車で、と思われるかもしれないが、されど洗車。これがなかなかにうまくいかない。

日本で洗車をする場合、ガソリンスタンドの洗車機でお願いするか、自宅でみずから洗車をするかのどちらかになるだろう。アメリカの場合、いくつか方法がある。

一つは、車に乗ったままベルトコンベアのようなもので自動的に運ばれながら、洗車マシーンの中を通って洗われるパターン。洗車機のようなものだ。二つめは、手洗いサービスをしている洗車スポットに頼む方法。洗車から拭き取り、さらにはオプションでワックス施工や内装整理までやってくれる、至れり尽くせりのサービスだ。三つめは、セルフウォッシュ。機械にお金を入れると制限時間が表示され、時間内に泡やワックス、リンスなどを使って自分で洗う方法。そして四つめが、自宅で洗車する方法だ。

私は洗車マシーンかセルフウォッシュを使うことが多い。手洗いサービスはやや高めなので避けており、かといって自宅で洗車できるように道具を揃えるのも面倒くさいので、無難な2択にしているのだ。

洗車マシーンは、最初にいくつかの洗車ランクから希望のランクを選ぶ。そしてお金を払えば、あとは車に乗っているだけで自動的に洗われるのでとっても楽ちんだ。ただし私の場合、家から1番近い洗車マシーンが車で20分とやや遠いので、若干面倒くさい。そこで最近もっともお世話になっているのがセルフウォッシュなのだが、これがなかなかの曲者だ。

私が行っているセルフウォッシュは、2ドル4分から。お金を足せば制限時間が増える仕組みだ。必要なコインを入れると、カウントダウンが始まる。壁にはソープ、リンス、高圧水スプレーなどさまざまな項目の一覧があり、使いたい機能につまみを合わせて一つひとつ洗車の作業を進めていく。

このいたってシンプルなセルフウォッシュの何に手こずっているのかというと、制限時間なのだ。セルフウォッシュデビューの日、5分くらいあれば洗車できるだろうとたかを括っていた私の思惑は、みごとに打ち砕かれた。

洗車の手順としては、まず高圧水で車にこびりついた汚れを落とし、その後バブル、ソープ、リンスで洗い流し、最後に風圧で水を飛ばす、という形だ。あれやこれや、せっせと一生懸命洗車をしていると5分はあっという間だった。結局コインを足して足して、最終的にすべて完了するまでに10分かかった。しかも、最後に水を飛ばす時間がなく、車は結局びしょびしょに濡れたまま。費用は8ドル。これでは洗車マシーンを使うよりもお金がかかってしまっている。

その日から、私とセルフウォッシュとの戦いは始まった。短い時間で満足のいく洗車を完了させるために、いかに無駄を省くか、手際よく洗車するかを模索する日々だ。車にこびりついた汚れを取るためには、高圧水スプレーは外せない。しかし、洗車の最初と最後に使うとこれが時間を食う。1回でいいのではないか、などと考えながら、洗車の手順を一つひとつ見直す。

最初の頃と比べたら、今では手際も良くなって10分かかることはなくなった。だが、洗車の順序をあの手この手で研究しベストな方法を探しているが、いまだ見つかっていない。私の戦いは、まだまだ続きそうだ。