ナバホ族が守り続けてきたアメリカの原風景
モニュメント・バレー

ナバホ族が守り続けてきたアメリカの原風景 <br/>モニュメント・バレー

ユタ州の南部からアリゾナ州の北部にかけて広がるモニュメント・バレー(Monument Valley)。ここは、どこまでも続く平原に赤砂岩の山々が連なる、ユニークな光景が見られる荒野だ。数々の映画の舞台にもなっており、アメリカの西部を象徴する原風景となっている。はるか昔から変わらない不思議な風景を見ようと、多くの観光客が訪れる人気の観光スポットだ。

モニュメント・バレーは、アメリカ先住民であるナバホ族の居留地内に位置している。ここでは今も、ナバホの人々が水道も電気もない伝統的な生活を営んでいるのだ。この敷地はナバホ・トライバル・パーク(Navajo Tribal Park)と呼ばれるように、ナバホの人々が敷地の運営・管理を請け負っている。

奇妙な形をした巨岩のオブジェ

塔のように細長い山や動物のような形をした山、頂上が台地のように平たい山など、ここで見られる岩山はユニークな形をした奇岩だらけ。このような光景ができあがったのは、何百万年もの間に氷解や雨風にさらされることで繰り返された浸食によるもの。

5億7000万年前、この辺りはメキシコ湾の海の底だった。それが隆起で押し上げられ、のちに長い年月をかけて徐々に浸食されていき、現在のような形へと変化していった。海の底の砂が固まった砂岩でできているため、崩れやすい性質だったのが、このような姿に変貌を遂げた重要なポイントだ。

モニュメント・バレーで見られる岩山には3つの種類がある。一つめは、スペイン語でテーブルを意味する「メサ」と呼ばれる岩山。その名の通り、上部がテーブルのように平らな台地になっており、これはまだ浸食の初期段階を示している。二つめは、「ビュート」と呼ばれる小さな丘のような岩山。メサよりも小さく、浸食が進んで第2段階に入った状態のものだ。三つめは「スピア」と呼ばれる尖塔のような岩山。浸食の最終段階に入っており、いつ倒れてもおかしくないくらい細くなってしまったもののことだ。

ドライブでめぐるビューポイント

モニュメント・バレーの敷地内には、ループ状になったドライブウェイが1本走っている。ここは一般車両の通行が可能なので、自分たちで好きなように見学したいならドライブで各ポイントを回るのがおすすめだ。

ただし、ドライブウェイは舗装されておらずデコボコしているので、車の運転に慣れていない人には難易度が高いかもしれない。また、敷地内には一般車両が通行できないナバホ族のプライベートロードもあるので、間違えて入らないように注意しよう。敷地内はナバホ族の居住区なので、ハイキングなどで歩き回ることは禁止されている。決められたビュー・ポイント以外の場所には立ち入らないように気をつけよう。

モニュメント・バレーは、ほかでは見られないユニークな景色が広がっていることから、さまざまな映画のロケ地にもなっている。『駅馬車』をはじめ、『荒野の決闘』『黄色いリボン』など、ジョン・フォード監督による西部劇の撮影に使われたことは有名だ。近年では、『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥー・ザ・フューチャー3』などのロケ地としても使われた。

まずはビジターセンターに立ち寄り、園内マップをもらおう。周囲にそびえる奇岩には、それぞれに名前がつけられている。

ザ・ミトンズ

ビジター・センターからは、奇岩群がそびえる広大な景色を一望できる。ここからは特に、「ザ・ミトンズ」と呼ばれる手袋のような形をした3つの岩山がきれいに眺められる。まさにモニュメント・バレーのランドマークとなっている景色だ。日の出や日の入りの時間帯に訪れれば、真っ赤に染まった幻想的な景色が見られるのでおすすめ。

ジョン・フォード・ポイント

ザ・ミトンズの脇を通り過ぎて奥へ進むと、ジョン・フォード監督がよく撮影を行なっていたポイントがある。荒野の真っ只中で、赤い岩山に囲まれた絶景を360度楽しめるビュースポットだ。ここからは、スリー・シスターズと呼ばれる3つの尖塔のような岩や、ゾウの形のようなエレファント・ビュートなどが見られる。

浸食によって断崖のように削られた岩の先端に立つと、まるで映画の主人公になったような気分に。アメリカらしい大自然の荒野を独り占めできる瞬間を楽しんで。ジョン・フォード・ポイントには、ナバホ族が手作りしたドリームキャッチャーやジュエリー、雑貨などが売られているので、おみやげにもおすすめだ。

トーテム・ポール
ドライブルートを1番奥まで進んだところにあるビューポイント。トーテムポールのように細長く浸食された岩が屹立する様子が見られる。ドライブルートから離れているため遠くから眺めることしかできないが、ツアーに参加すれば近くまで行くことができる。

アーティスト・ポイント

ビジター・センターとは反対の、モニュメント・バレーの奥側から園内を一望できるポイント。ザ・ミトンズやエレファント・ビュートなどを先ほどの裏側から眺めることができる。その名の通り、額に収められた絵画のような絶景が目の前に広がっている。

このほかにも、ラクダのような形をしたキャメル・ビュートや、『フォレスト・ガンプ』の撮影のロケ地となったフォレスト・ガンプ・ポイントなど、見どころは多数ある。

気軽にめぐるならツアー参加がおすすめ

車があれば自分たちで自由に回ることができるが、もっと奥深くまで見尽くしたいなら、ナバホ族が開催するツアーに参加するのがおすすめ。この地に住み、隅から隅まで知り尽くしているナバホのガイドが、モニュメント・バレーの成り立ちやナバホの歴史などを解説しながら、一般車両が入れないエリアまで案内してくれる。