悠久のときを感じる
デナリ国立公園

悠久のときを感じる <br/>デナリ国立公園

アラスカ第2の都市フェアバンクスから車で2時間ほど南に下ったところに位置するのが、デナリ国立公園。標高6000メートルを超す北アメリカの最高峰、デナリ山に抱かれた大自然の国立公園だ。ここでは来訪者の立ち入りエリアを制限することで、はるか昔から変わらない自然の姿をずっと保ってきた。

偉大なもの「デナリ」

この雄大な山は、「マッキンリー山」という名称のほうがなじみ深く感じる人もいるかもしれない。「マッキンリー」は英語の名称として長く使われていたが、アラスカの先住民の伝統に敬意を称し、2015年に「デナリ」と名称が変更された。

デナリとは、アラスカの先住民アサバスカンの言葉で「偉大なもの」を意味する。この地では、はるか昔から先住民たちが自然に敬意を払い、狩猟生活を行ないながら自然と共に生きてきた。古き伝統が大切に守り続けられてきたからこそ、今も変わらぬ姿のままで存在できる聖なる地域なのだ。

デナリ国立公園を特別な存在にしているのは、これらの山々だけではない。この地では、ムースやカリブー、グリズリー、オオカミなど、多くの動物たちがありのままの生活を営む姿が見られる。

彼らが自然の生活を保つことができるのは、公園の厳正な管理によるものだ。デナリ国立公園には1本の舗装道路が奥まで続いており、一般車両は通行することを許されていない。公園が運営するバスのみが通行できるように厳しく管理することで、生き物たちの生活を守っているのだ。ここにも、アラスカの人々の自然に対する敬愛の念が感じられる。

当たり前のように野生動物に出会える

デナリ国立公園の魅力は、雄大なデナリ山とたくさんの野生動物たちだ。ここには38種の哺乳類と172種の鳥類、14種の魚類が生息している。厳重に管理された公園内では、バスの窓からそこかしこで自由に暮らす動物たちを眺めることができる。

特に人気の高い4大生物とされているのが、グリズリーベア、ムース、カリブー、ドールシープ。よく目を凝らして見れば、これらすべての動物たちを目にすることも難しくないのがデナリの魅力。時には間近に迫る生物たちの行動を見られることも。ただし、バスに乗っているとはいえ基本的には必要以上に生物に近づくことはできないので、双眼鏡は絶対に持参するようにしよう。

紅葉シーズンに訪れると、冬眠に備えて食料を集める動物たちの親子の姿が見られる可能性も高い。

ハイキングを楽しむ

デナリ国立公園は、エントランス付近に多くのハイキングトレイルがある。10分くらいで歩ける簡単なルートから、5時間かけて自然の中をひたすら歩く上級者向けまであるので、滞在時間や体力と相談して好みのコースを歩いてみよう。バスから見るのとは違う景色が楽しめるはず。

2時間ほどかけて移り行く景色を楽しみたい人におすすめなのが、ホースシューレイク・トレイル(Horseshoe Lake Trail)。馬の蹄のような形をした湖をぐるりと回るコースで、草木が生い茂る林の中や湖に映り込む山々、湿原など、さまざまな景色を楽しめる。この周辺はムースの出現率も高いので、早朝や夕方などに訪れれば彼らに出会えるかもしれない。

人気のスポット「ワンダーレイク」

デナリ国立公園の見どころの一つとして有名なのが、「ワンダーレイク(Wonder Lake)」。ここはデナリの奥のほうに位置しており、バスでしかアクセスができない。風のない晴れた日に訪れると湖面にデナリ山が逆さに映り込む絶景が見られるため、それを狙って訪れる観光客も多い。

逆さデナリが見られなかった場合でも、大きな湖の背後にそびえるデナリ山の構図は一見の価値ありだ。

公園のめぐり方

公園をめぐるバスツアーは、所要時間と距離によっていくつか種類がある。一番奥まで行く場合は12時間と1日がかりの行程になる。短いものだと4時間ほど。時間に余裕があるのなら、12時間のツアーがおすすめだ。奥まで行った人だけが見られる、大自然の感動を実感できるだろう。

公園のエントランス付近は一般車両が通行できるエリアとなっており、ハイキングルートへ自由にアクセスできる。この辺りでもムースをはじめ、さまざまな動物と出会うことができるので、訪れる際にはぜひハイキングも体験しよう。

アラスカ鉄道でデナリ国立公園へ

デナリ国立公園のエントランス付近には、アラスカの唯一の鉄道・アラスカ鉄道の停車駅がある。アラスカ鉄道はアンカレッジからフェアバンクスまで走っているので、国立公園へはどちらからもアクセスが可能となっている。所要時間は、アンカレッジからは7時間半、フェアバンクスからは4時間ほど。レトロな列車の車窓からはアラスカの美しい景色が眺められるので、ゆっくりと列車旅で訪れるのもおすすめ。